このページは、学部2年生向け授業である、「マルチメディアプログラミング実習」 のために用意しました。
(Wikiの仕様で大文字小文字が混在した英単語に疑問符?が追加されるところがありますが、無視してください。)
まとめです:
整数型のインスタンス変数を2個だけ持つクラスです。C言語の構造体に似ています。
public class Point { int x, y; }
先のPoint型のクラスにインスタンスメソッドを1個追加します。座標を表示するメソッドです。
public class Point { int x, y; void print() { System.out.println(x + ", " + y); } }
クラスからインスタンスを作ることをインスタンス化またはインスタンシエーションと言います。
先のPointクラスとは別の、テスト用クラスTestPointを用意して、その中でPointインスタンスを作るには、以下のようにします。 Pointクラスは別のファイルで定義されていることになりますが、同じディレクトリにそのファイルがあれば、ファイル名を手掛かりに探してくれます。
public class TestPoint { public static void main(String args[]) { Point pt1 = new Point(); Point pt2 = new Point(); } }
配列の時と同じくnewコマンドが使われています。new Point()により、Pointクラスの設計図にしたがって、Point型インスタンスを格納するためのメモリー空間が確保されます。確保されたメモリー領域への参照をPoint型変数に代入しています。ここでは2つのインスタンスを作りました。同じ設計図(クラス)から作られましたが、それぞれ別のものです。
インスタンスのインスタンス変数、インスタンスメソッド(これらを合わせてメンバーと言うこともあります)にアクセスするためには、ピリオドを用います。C言語の構造体と同じです。
pt1とpt2のインスタンス変数に値を代入して、インスタンスメソッドprint()を呼び出すプログラムは以下のようになります。
public class TestPoint { public static void main(String args[]) { Point pt1 = new Point(); Point pt2 = new Point(); pt1.x = 10; pt1.y = 20; pt2.x = - pt1.x; pt2.y = - pt1.y; pt1.print(); pt2.print(); } }
この結果、10, 20と-10, -20が表示されます。
TestPoint3Dというクラスを作って、その中のmain関数で、 先に作ったPoint3Dクラスからインスタンスを2個作り、それぞれの座標を10,20,30と-10,-20,-30に設定し、それぞれの内容をprint()メソッドを呼び出して表示するプログラムを作ってください。 以下のような実行結果が出るようにしてください
変数とメソッドの定義に使われる修飾子や戻り値の表現は、C言語に似ています。
以下はとても重要です。
クラス変数にはクラス名を指定してピリオドでアクセスします。例えばjava言語には、Mathというクラスが用意されています。MathクラスにはPIというクラス変数が用意されています。なので、Math.PIでアクセスできます。
class MathTest { public static void main (String args[]) { System.out.println(Math.PI); } }
またMath.random()クラスメソッドで乱数が得られます。以前の演習で使いました。
インスタンス変数はインスタンスを作ってからアクセスします。上の例でPointクラスでprint()インスタンスメソッドを作りました。これは、
Point pt1 = new Point(); pt1.print();
としてアクセスできます。クラスメソッドではありませんので、Point.print()ではアクセスできません。インスタンスメソッドだからです。
そのほかの修飾子は、あとで説明しますが、アクセス制御だけ述べておきます。
です。
では、今までお馴染みの、
public static void main (String args[]) {}
は、どいういう意味だったでしょうか?考えてみてください。
さらに説明すると、クラスメソッドmainは特別なメソッドで、javaコマンドが実行するメソッドです。なので、public static void main()があれば、javaコマンドはこれを実行します。つまり、
public class Point { private int x, y; void print () { System.out.println(x + ", " + y); } public static void main(String args[]) { Point pt1 = new Point(); //自分自身からインスタンスを作る Point pt2 = new Point(); //自分自身からもう一つインスタンスを作る pt1.x = 10; pt1.y = 20; pt2.x = - pt1.x; pt2.y = - pt1.y; pt1.print(); pt2.print(); } }
これで、java Pointコマンドで、テストすることができます。 やっていることは、少しややこしいので、しっかり確認してください。 クラスメソッドの中で、自分が定義した方法で、インスタンスを作っています。そしてそれを操作しています。
クラスPoint3Dに自分自身をテストするクラスメソッドmainを作ってみよう
C言語の構造体のように変数にアクセスできます。 でも、オブジェクト指向の設計では、外部からは極力変数にアクセスさせない設計が良いと言われています。 変数にアクセスするには、アクセス用のメソッドを使うのが良いと言うことです。 これにより、 変数の型などを将来変更してもメソッドの書き換えで対応できるからです。 修飾子をprivateにすると、クラスの外からアクセスできなくなって、保護できます。 そして、アクセス用のメソッドを書いておきます。
例えば、Pointクラスでしたら以下のようにします。
public class Point { private int x, y; void set(int newx, int newy) {x=newx; y=newy;} int getx() { return x;} int gety() { return y;} void print () { System.out.println(x + ", " + y); } public static void main(String argv[]) { Point pt1= new Point(); Point pt2 = new Point(); pt1.set(10,20); pt2.set(-pt1.getx(), -pt1.gety()); pt1.print(); pt2.print(); } }
Point3Dのメソッドを充実させて次のmain()メソッドで
10, 20, 30 -10, -20, -30
という結果が出るようにしましょう
public static void main(String argv[]) { Point3D pt1 = new Point3D(); Point3D pt2 = new Point3D(); pt1.set(10, 20, 30);//インスタンス変数を設定 pt2.set(-pt1.getx(), -pt1.gety(), -pt1.getz()); pt1.print();//インスタンスメソッド呼出 pt2.print(); }
Point3Dに、他の点との距離を返すメソッド distance ( Point3D p ) を実装して、次のmain()メソッドで
10, 20, 30 -10, -20, -30 74.83314773547883
という結果が出るようにしましょう
public static void main(String argv[]) { Point3D pt1 = new Point3D(); Point3D pt2 = new Point3D(); pt1.set(10, 20, 30);//インスタンス変数を設定 pt2.set(-pt1.getx(), -pt1.gety(), -pt1.getz()); pt1.print();//インスタンスメソッド呼出 pt2.print(); System.out.println(pt1.distance(pt2)); }
double distance ( int ptx, int pty, int ptz ) { int dx = ptx - this.x; int dy = pty - this.y; int dz = ptz - this.z; return Math.sqrt(dx * dx + dy * dy + dz * dz); } double distance ( Point3D p ) { return this.distance(p.getx(), p.gety(), p.getz()); }
double distance ( int ptx, int pty ) { int dx = ptx - this.x; int dy = pty - this.y; return Math.sqrt(dx * dx + dy * dy); } double distance ( Point p ) { return this.distance(p.getx(), p.gety()); }
distanceという名前は同じでも、引数の違いで、異なる動作をさせることができます。
public static void main(String argv[]) { Osaifu saifu1 = new Osaifu(); Osaifu saifu2 = new Osaifu(); saifu1.in(1000); saifu2.in(500); saifu1.print(); saifu2.print(); saifu2.in(saifu1.out(200)); saifu1.print(); saifu2.print(); }
public class Osaifu { int okane; public void in (int x) { okane += x; } public int out(int x) { okane -= x; return x; } public void print() { System.out.println( "okane = " + okane +" yen"); } public static void main(String argv[]) { Osaifu saifu1 = new Osaifu(); Osaifu saifu2 = new Osaifu(); saifu1.in(1000); saifu2.in(500); saifu1.print(); saifu2.print(); saifu2.in(saifu1.out(200)); saifu1.print(); saifu2.print(); } }
public int out(int x) { if(x < okane ) { okane = okane -x; return x; } else { int nokori = okane; okane =0; return nokori; } }
ことができるコンストラクタを作ろう。
これをmainから呼んで、上記のプログラムと同じことをするためには、
Osaifu saifu1 = new Osaifu(1000);//インスタンスを作る //最初の保持金額を1000円にする Osaifu saifu2 = new Osaifu(500);//インスタンスを作る //最初の保持金額を500円にする
とすることになる。
以下のコンストラクタを作ることになる。
Osaifu() { okane = 0; } Osaifu(int x) { okane = x; }
これは以下のように書いても良い。
Osaifu() { this(0); } Osaifu(int x) { okane = x; }
継承の話をしました。 別のクラスを継承することで、 差分だけを書いて機能を拡張していくことができます。
public class OsaifuUSD extends Osaifu {
public static void main(String argv[]) { OsaifuUSD saifu1= new OsaifuUSD(); OsaifuUSD saifu2=new OsaifuUSD(); saifu1.in(1000); saifu2.inUSD(5); saifu1.print(); saifu2.print(); saifu2.inUSD(saifu1.outUSD(2)); saifu1.print(); saifu2.print(); }
public class OsaifuUSD extends Osaifu { public int outUSD(int usd) { okane-=usd * 90; return usd; } public void inUSD(int usd) { okane+=usd * 90; } public static void main(String argv[]) { OsaifuUSD saifu1 = new OsaifuUSD(); OsaifuUSD saifu2 = new OsaifuUSD(); saifu1.in(1000); saifu2.inUSD(5); saifu1.print(); saifu2.print(); saifu2.inUSD(saifu1.outUSD(2)); saifu1.print(); saifu2.print(); } }
為替レートを90円にしたが、多分現在の為替レートとはかけ離れていると思う。 為替レートを変数として持たせるとしたら、どうしたら良いだろうか。
のどちらにするか、考えてみよう。
親のメソッドを活用しても良い
public class OsaifuUSD extends Osaifu { public int outUSD(int usd) { return ( out( use * 90) / 90 ); } public void inUSD(int usd) { in( usd * 90 ); } … }
親のメソッドを呼ぶことを明示的に書くためにsuper.をつかってもよい。
public class OsaifuUSD extends Osaifu { public int outUSD(int usd) { return ( super.out( use * 90) / 90 ); } public void inUSD(int usd) { super.in( usd * 90 ); } … }
OsaifuUSDにprint()メソッドを追加して、 円表示の次の行に ( xxx USD ) と残高をUSD表示するようにしてください。 円表示を行う部分はスーパークラスOsaifuのインスタンスメソッドprint()を利用することを考えてみてください。
public void print() { super.print(); System.out.println("( " + (okane / 90) + " usd )" ); }
以下のプログラムの中で、 クラス、インスタンス、サブクラス、スーパクラス、クラスメソッド、インスタンスメソッドがどれであり、 インスタンス化、継承がどこで行われているのか確認してください。 (importで始まる一行目はまだ説明していない内容なので小テストでは扱いません。無視してください)
import javax.swing.JFrame; public class SampleWindow extends JFrame { public static void main(String args[]) { SampleWindow w = new SampleWindow(); w.setVisible(true); } }